第7回 『攻める力』と『守る力』はバランスと優先順位が重要!

前回、会社を船だと例えたら、その船には「攻撃力」「守備力」「持久力」の3つの計器がある事を確認しました。今回はその3つの計器のうち、攻める力と守る力の二つをどう見るかを確認します。この二つの力は(1)バランスと、(2)優先順位がとても重要です。

(1)バランス
攻める事が得意な経営者は、攻めることばかり思考し続ける傾向があります。守りをおろそかにし、拡大路線をひた走り、船を沈めるにいたるのです。これが典型的な黒字倒産の事例といえます。売上げも伸びて、利益も出ているのに船が沈むのです。
逆に、守り重視の経営者は、いつまでも攻撃に移りません。結果、経営資源を価値化できず、資産を持て余す事になって、やたら大きな身動きのとれないただの鉄のかたまりの様な船になってしまうのです。
攻めと守りはそのバランスが大事になります。自分が「攻めタイプなのか?」「守りタイプなのか?」その「バランスはどうか?」を確認し、次にどちらを強化・改善するのかを考えていく必要があるのです。

(2)優先順位
バランスを強化・改善する優先順位として、まず守りの強化・改善から始めましょう。「守りを強くしてから攻める」ことを繰り返して船の成長を実現していく事が理想的な成長パターンです。体力がないのに無理な攻撃をしていると思わぬしっぺ返しにあうことになります。
勘と経験で航海をするのではなく、攻めと守り、二つの計器を見比べて、常にどちらに進むのかを考えましょう。我社の力のバランスがわからなかったら、航海士である会計事務所に尋ねてみるといいでしょう。


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第6回 船の状態を見抜く為の『3つの視点』は経営の常識!?

(1)会社を船に例える事、(2)船の強さを測る物差しとして、財務状態を確認する事、(3)財務状態から見える多くの問題は、未来を切り開く大切な宝物である事、(4)航海の羅針盤としての決算書、航海士としての税理士を活用するとよい事、(5)その準備ができたらゴーイング・コインサーンを目指して船出をする事。以上をこれまで確認してきました。

今回から、船の状態を確認する為の「3つの力」について紹介していきます。企業の活動を財務的な視点から説明すれば、1)資本を営業活動に投下し、(2)営業活動によって収益実現し、(3)その収益を回収して、(4)という一連の流れになります。その流れを3つの力に整理するのです。

一つめは「攻撃力」。文字通り攻める力がどの程度あるかを確認する攻撃力は、主に営業活動によってどの程度収益を実現する力を持っているかを確認する視点となります。
二つ目は「守備力」です。守備力は、攻撃によって生まれた収益を効率よく回収し、次の資本投下の為に資産を蓄える体質になっているかを把握する為の視点になります。
最後は「持久力」。持久力は、会社に万が一のことがおこった場合、どの程度耐える力を持っているかであり、変化への対応力を確認します。

自社の「攻撃力」「守備力」「持久力」を把握していますか?漠然と財務状態が良い、悪いといっていませんか?攻撃ばかりに気を取られ、守りがおろそかになっていませんか?守りに集中するあまり、攻撃を手抜かってはいないでしょうか?それぞれの力をバランスよく育てていきましょう。その為にも、現在のそれぞれの力を把握しましょう。
(SHIPではそれぞれの力を測定することが可能です)


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第5回 全ての企業が共有する使命…。それは『ゴーイング・コンサーン』

企業は『永続的に発展する事(ゴーイング・コンサーン)』に意味と価値があります。何故なら、企業は、そこに存続するだけで周囲の環境に測りしれない貢献をしているからです。ですから、全ての企業が共有する使命は『ゴーイング・コンサーン』だといえます。 

例えば、何らかの理由で、明日突然会社が操業を停止すれば、社員はその日から無職になり、その社員の家族がいきなり路頭に迷います。社員が毎日通っていた定食屋さんやタバコ屋さんは売上が激減し、取引のあった得意先は新たな取引先を探さなければいけません。価格交渉や品質面の確認は一からやり直しになり、場合によっては連鎖倒産という事態も起きかねないのです。有機的に繋がった社会において、こつ然と会社が消滅してしまう事の影響は私達が想像する以上に大きいものがあります。

日本には、2万6千社を超える百年企業が存在(帝国データバンク調べ)しますが、これは諸外国と比較すると驚異的な件数です。この事実から世界中の経営者は『日本的経営』に大いなる関心を示しています。

企業は一旦誕生したら、①上場、②事業承継(後継者)、③M&A(後継社)、④清算、⑤倒産という、5つの出口の何れかに向かいます。ゴーイング・コンサーンを使命とすれば、①~③の選択肢しかない事になりますし、出口によって取るべき対策も全く異なるものになってきます。

先ず「自社がどの出口を目指すのか?」を明確にし、その為に財務上なすべき事を整理しておきましょう。航海はもう始まっているのですから…。


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第4回 決算書を航海の羅針盤にする方法

会社は原則、年に一度必ず「決算」をむかえます。会計事務所の担当者がやってきて、決算書を見せながら「売上が上がった、下がった」「利益は幾らで、税金は幾らになる」という数字を見れば誰でもわかるような、通り一遍の説明をうけ、最後にとても分かりにくい「申告書」という書類にサインと押印をします。この年に一回の「決算」を単なる形式的な儀式にしてはいけません。

船長が航海士と一緒に航路や針路、今後のプランを常に確認するように、本来決算は「我社のどこがどう問題で」「何処に注意しなくてはいけなくて」「もっと良くするには何を、どの程度改めればいいのか」を数字の専門家と確認する為のものです。会社にとっては、年に一回の重要な健康診断とも言えます。

しかし、決算を経営の役に立てる為には決算書に点数を付ける必要があります。「前期の決算書が何点なのか」を明確にするのです。点数を明確にするということは、同時に問題が明確になっていることを意味します。点数そのものには大した意味はありません。大切なのは足りないところは何で、何処を改善すれば前期よりも良くなるのか?です。それさえ分かれば日々の仕事を問題解決にする事が出来ます。

先ず、決算書に点数を付けましょう!

自分で点数を付けるのは難しいので、先ずはSHIPを依頼して下さい。「決算書なんか経営の役に立たない」と決めつける前に、役に立つ決算書にする為の行動をとりましょう。財務に点数を付けることを経営者の大切な仕事にしましょう!


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第3回 ゴールと現実とのギャップが問題! 問題は財産だから皆で共有しよう!

自社にとって、「良い財務体質」=「戦艦クラスの財務体質」とはどのような常態か?が把握できると日常が変わります。何故なら目指す姿(ゴール)と現実とのギャップが目標になり、日常の活動がつねにその目標を達成するものになっているのかを確認できるからです。

漫然と日常を繰り返していくことほどもったいない事はありません。それは社長も、社員も同じです。全社員が、理想と現実を確認し、問題を明確にした上で日常に向き合えば、会社はとても強い会社になっていきます。

自分や自分の会社の問題は出来れば見たくないかもしれません。ですから、誰かに自分や会社の問題を指摘されたら思わず反論してしまいます。同じように、自社の問題を社員と共有するのにはとても勇気が必要です。しかし、この発想には出発点に大変大きな間違いが存在します。それが、問題は忌み嫌うものだという思い込みです。

問題に踏込み、問題点を明らかにし、課題に変え、その課題を解決していけば、問題は未来を明るいものにしていく大切な経営資源になります。問題は最も重要な経営資源だと定義しなおせばいいのです。問題をどんどん暴きたて、問題を指摘してくれる人に出逢ったら心から感謝できる自分になりましょう。そして、決然とその解決の為の行動に出れば良いのです。仕事とは問題を解決する事なのですから。


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第2回 船の強さは何で測るのか? ゴールを明確にする事から始めよう!

会社を船だと例えたら…。安定航海をする為により強い船にすることは共通の願いになります。そこで、次に大切になるのが「強い船とは何か?」を明確に定義することです。

当然、「強い船」の定義は経営者の価値観によっても、業種や、業態によっても違ってきます。しかし、現状を確認する為のぶれない指標として『財務』があるのです。財務は経営活動の結果の集約であって、未来を保証するものではありません。しかし、過去の経営活動の全てが集約しているから、決して誤魔化すことは出来ないのです。

数値は嘘を付きません。ですから、過去の活動によって、会社を強いものに出来たか否かの答えが明確に出てしまうのです。分かる人がその会社の財務状態を見たら、経営者の考え方まで見えてしまいます。財務って恐ろしいのです。でも使い方によってはとても役立つものにできます。

誤解してはいけないのが、規模の大きさが強さではないという事です。売上や社員数が少ない、所謂小さな規模の会社でも素晴らしい財務体質の会社は数多く存在します。一方で会社の規模がいくら大きくても、今日・明日の行方も知れぬ「いかだ」クラスの船(会社)も数多く存在します。大きな規模を目指す必要はありません。財務体質のいい会社にすればいいのです。

では、いい「財務体質」とはどんな状態なのだろうか?先ずはその答えを知ることから始めましょう。経理や会計事務所と一緒に、我社にとって良い財務体質をあきらかにするのです。是非、楠の木会のセカンドオピニオンも活用して下さい!


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第1回 会社は『船』だという現実を全社員と共有しよう!

会社を船だと例えたら…。太平洋のど真ん中を航海している船に乗った船員が、まさか自分の乗っている船の船底の板をはがすようなことはしませんし、自らマストを折るようなこともしません。何故なら、船が沈むことは、同時に自分の死を意味するのですから。

にもかかわらず、自社の商品に農薬を混入する社員や、取引先にリベートを求め自分の懐だけを温めようとする経営者、私利私欲のために数億のお金を使い込んでしまう経理マン…、それは自分の乗っている船を破壊し、沈没させる行為なのに。そんな事件が後を絶たないのです。

何故そんな事件が後を絶たないのでしょうか?それは、自分が所属している会社が自分自身も乗り合わせている船なのだという現実に対する認識が欠落しているからです。その認識が正しくできれば、船を破壊しようとする社長(船長)も社員(船員)もいなくなるはずです。

もっと言えば、自分たちが同じ船に乗っているという認識ができれば、社長も社員も船をより強く、安定させようとするはずです。自分さえよければ良いと考える乗組員はいなくなるはずです。それぞれが、それぞれの立場と役割の中で、船を強くする事に全力を注げるようになるのです。船は物理的なものだから、買い替えない限り新たな船にはならないけれど、会社は生き物だから皆が問題を共有し、「より強い会社にしよう」と思えば幾らでも強い会社にしていけます。

社長の会社はいつ沈んでもおかしくない「いかだ」になっていないだろうか?必死でこがないと進まない「ボート」になっていないだろうか?乗り心地はよくないけどエンジンの付いた「漁船」でもなく、安定航海可能な「客船」でもなく、環境の変化に即時対応できる「戦艦」クラスを目指しましょう!

会社を良い会社にしようと思ったら、「全社員と同じ船に乗っている」という現実を全社員と共有することから始めましょう!その為にも、今の船の状態をしっかりと確認して下さい。


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